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株式会社TearExo

株式会社TearExo

採択に向けて、応募申請時に工夫したことは何ですか?

代表取締役 堀川 諒 氏

起動は第一期から注目しており、メンターやパートナー企業の顔ぶれなどに大きな魅力を感じていました。第二期の募集を知ったときは「絶対に選ばれよう!」と会社を上げて取り組みました。

特に意識したのは「起動の主旨と弊社のビジョンがどのようにマッチするのか」を確実に伝えることです。社内だけでなく、外部ブレーンの力も借りて資料やプレゼンテーションの構成をブラッシュアップしました。その過程でプレゼンの内容を大幅に見直し、技術メインのアピールからビジネスやソリューションを明確に伝える方針に変更しました。

プレゼンテーションの練習も多くの方に協力いただきながら何度もくり返し、採択が決まった瞬間は感極まって涙が出たことを覚えています。

ハンズオン支援で得られた具体的な成果を教えてください。

技術開発に関しては既に体制ができているので、主に市場開拓や商品化といったビジネス面について相談しました。その中で大きなメリットとなったのは、販路開拓につながるネットワークを築けたことです。コーディネーターの方からは医療機関を紹介していただき、開発中の検査キットの検証に協力いただくことができました。また関西の財界とのネットワーキングを通じて、実証実験や販路開拓に向けた話も進んでいます。

一方で商品化に必要なパッケージ制作や流通についての知見がほとんどなかったのですが、物流会社をはじめノウハウを持つ事業者を紹介いただき、市場投入に向けて動き出すことができました。

さらに、補助金の申請書へのフィードバックやプレゼン審査に向けた壁打ちにも協力いただき、技術開発関連の助成金を獲得することができました。

「起動」のプログラム全体への感想を教えてください。

最大の魅力はコーディネーターが同じ目線で伴走してくれる点です。半年間、週に1回のミーティングをお願いして、常に共通の課題感を持って動いていただいたので、オーダーメイドに近い支援だったと感じています。

また、協業資金が充実している点も大きな魅力です。スタートアップと事業会社で「PoCや実証実験をしましょう」という話になっても、資金面がハードルになるケースは少なくありません。その部分を協業資金という形でカバーしてもらえるので、スピーディーに話を進めることができます。

弊社はこれまで技術開発には力を入れてきましたが、「どうやって売るか」という話があまり進んでいませんでした。今回の支援を通じて、その部分を明確化できたのは非常に大きな成果だと捉えています。

応募を検討しているスタートアップへメッセージをお願いします。

今回、起動の採択に向けてプレゼンの内容をゼロから見直しましたが、その結果、他のピッチイベントでも良い評価をいただくことが増えました。本気で取り組めば、たとえ採択されなくてもその後の事業のブラッシュアップにつながるため、ぜひ積極的に応募することをおすすめします。

担当コーディネーターより

「涙」を検体として、迅速、簡便、高感度、低侵襲な検査を実現する「TearExo法」。同社はこれを、まず乳がんというメディカル領域で展開することを選択しました。創業メンバーの「治る病気で人が死ぬことに納得がいかない」という強い想いがあるからこそ、ビジネス化しやすいノンメディカル領域から始めなかったのです。そのため、初期顧客選定、ロジ選定、エビデンス作り、収益モデル構築のハードルは当然高くなります。堀川社長は、この難しいチャレンジに笑顔を絶やさず向き合っています。自分に固執するというところがなく、目標に対して柔軟で活動的な経営者です。だからこそ、私も伴走しやすかったと感じます。まずは、間近に迫る有償PoC。成功を心より祈念しております。