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光オンデマンドケミカル株式会社

光オンデマンドケミカル株式会社

採択に向けて、応募申請時に工夫したことは何ですか?

代表取締役CEO 津田 明彦 氏

応募時はまだ法人設立前で、関西の経済界やスタートアップのコミュニティとのネットワークもなかったため、ゼロから弊社を認知してもらう必要がありました。そこで意識したのは「ひと言で会社の事業を伝える」ということです。

弊社のような化学系のスタートアップの場合、専門用語を盛り込んでしまうと説明が難しくなってしまい、事業内容も伝わりません。そのため「下水・海水・空気から光で化学品をつくる」と一般の方にもわかる言葉でシンプルに事業内容をアピールしました。審査員の方からは「もっとわかりやすく」とフィードバックをいただきましたが、事業性を評価いただき無事に採択されたことをうれしく思います。

ハンズオン支援で得られた具体的な成果を教えてください。

支援開始の翌月に法人を設立しましたが、登記にあたって多大なるご支援をいただきました。私はいわゆるアカデミア研究者なので定款作成や税務申告など会社設立に必要な手続きについて、最初はまったく知識がありませんでした。一方で、私たちの起業計画にいち早く着目して、設立や経営を請け負う代わりに株式を要求する業者から何度かオファーを受けていました。起動のハンズオン支援ではこのような業者と契約するリスクをご指摘いただき、自分たちの手で設立できるよう丁寧にサポートいただきました。

自治体との協業についても、大いに支援いただきました。現在、大阪市建設局の実施設における実証実験実施に向けた協議を進めていますが、これも大阪産業局さんがフットワーク軽く担当部署を紹介してくださったおかげです。初回の打ち合わせで感じたスムーズさとスピード感には驚きました。

さらに、特許の契約に関しても大きな成果を得ることができました。大学の研究室から生まれたスタートアップは、知財のライセンス契約を巡って大学側とさまざまな交渉をする必要があります。その部分を専門機関にサポートいただき、結果として弊社に都合の良い条件で合意することができました。

他にも補助金申請やVCメンターによるアドバイス、関西の財界コミュニティとのネットワーキングなど、数多くの成果が生まれています。

「起動」のプログラム全体への感想を教えてください。

ハンズオン支援に関わる皆さんは、まるで弊社の一員のように責任感をもってサポートしてくださいました。また経営について右も左もわからず、「定款」や「エクイティ」といった基本的な用語も知らなかった私たちが、間違った方向へ進んだり、大きな組織に飲み込まれたりしないよう、親身になってアドバイスしてくださいました。起業前後の不安定な時期を乗り越え、しっかりと船出ができたのは、この支援があってこそだと実感しています。

応募を検討しているスタートアップへメッセージをお願いします。

「どう世の中の役に立ちたいか」「世界をどう変えたいか」というビジョンをしっかりと貫き通すこと。事業が流行に乗ったものではなく、誰にも真似できない唯一のものであること。この2つがとても大切だと思います。私の研究も最初は誰からも相手にされませんでしたが、「必ずこれが必要な時代が来る」と信じて続けてきた結果、今の事業化につながっています。短期的な収益だけを追求するのではなく、実現したい未来に向けてご自身の信念を貫くことを、今後採択される方々にも期待しています。

担当コーディネーターより

同社は、メタンからホスゲン化生成物を生産できる世界で唯一の企業です。
起動期間中では、有償での技術供与の実現、補助金獲得、ビジネスモデルのブラッシュアップ、自治体との連携、広報活動、万博出展等、事業が大きく前進しました。
津田先生の熱く、高い志により、カーボンネガティブな「光ものづくり」によって、世界の化学品生産分野に、日本発の革新的イノベーションを生み出すことを期待しています。