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株式会社EX-Fusion
株式会社EX-Fusion
採択に向けて、応募申請時に工夫したことは何ですか?
事業企画案提案書では、大阪から世界へ羽ばたくポテンシャルがあることをアピールするようにしました。レーザー核融合は「エネルギー」というグローバルな課題に解決策を見出せる可能性があること、そして歴史的には大阪発の技術であることを強調したことで、起動の理念にも沿った提案書になったと思います。ただ、商用炉の実現には10年~20年という期間が必要なので、レーザー技術を活用した短期・中期で売上の見込める事業も提案書に盛り込み、ビジネスとしての実現性もアピールするようにしました。
ハンズオン支援で得られた具体的な成果を教えてください
9月に統合試験設備の構築を予定していますが、パートナー企業である三井住友海上火災保険とフュージョン保険の開発を検討しています。実験設備の構築には、万一の事故など大きなリスクが伴いますが、その損失が保険でカバーされれば、スタートアップ側も積極的にリスクを取って挑戦できます。このような協議を始められたことは、弊社の研究開発を前進させる上で大きな成果だと思います。保険にかかる費用には本プログラムで提供される支援金を充てることができたため、財務の面でも恩恵を受けることができました。また支援期間中に資金調達を行いましたが、パートナー企業からの出資もいただくことができ、合計で18億円の調達を行うことができました。
補助金申請においても、専門的な立場からアドバイスを受けられて非常に助かりました。補助金申請に必要な要項は数が多く、自分でやろうとすると膨大な時間を取られてしまいます。そこをサポートしていただき、抜け漏れのチェックや重要な評価ポイントの指摘をしてもらえたおかげで、必要以上に労力を使うことなく獲得に至りました。
「起動」のプログラム全体への感想を教えてください。
アクセラレーションプログラムにもさまざまなタイプがありますが、「起動」は各社の要望に合わせてフレキシブルに支援してくれる点が魅力でした。弊社が開発しているのは複合技術のため、複数の技術開発を並行して進めていく必要があります。今回、補助金の獲得やパートナー企業との協業でいくつかの開発を加速できたため、それ以外の技術開発にもリソースを割けるようになり、結果的に事業全体の加速につながりました。
弊社の技術はもともと、大阪大学レーザー科学研究所の50年以上にわたる研究をベースにしています。その歴史を背負う意味でも「大阪発の技術」という謳い文句にこだわって事業を進めてきましたが、「起動」に採択されたことでそのお墨付きをいただけたと感じています。
応募を検討しているスタートアップへメッセージをお願いします。
大阪は「商人の町」です。つまり「儲かっているかどうか」を重視される町ともいえるので、最初にどうしても赤字を掘らざるを得ないスタートアップにとってはプレッシャーの大きい場所でもあります。しかし「起動」はいわゆる「Jカーブ」の赤字を掘っている段階のスタートアップを支援してくれるプログラムなので、将来性の見込める企業であればきちんと評価してもらえます。リスクを取ってでも大きなことに挑戦したいスタートアップは積極的に申し込むことをお勧めします。
担当コーディネーターより
同社の競争優位性の源泉は、「技術力」と「人材、チーム」にあります。特に後者は、松尾CEO自らがメディア等で同社が世界に与える社会インパクトについて力強く、広く発信することで、優秀で多様な人材の採用に成功されています。従業員各々が専門性を発揮しながら自走しつつも、最終的に会社全体となることで総合力が発揮され、強力に事業を推進されています。同社が本技術の実装で世界一になることを期待しています。